畳に座る
11月になると、お茶室は冬の装いになります。
夏は風炉という大きな土風炉を畳の上において、
その上におかまをかけていたのですが、
冬になると
畳の中に切られたいろりのような炉を開いて、
灰を入れて炭を次いで、釜をかけます。 それを炉開きと言います!
釜から立ち上る湯気や
時々、ぱちぱちと火花が炉壇を駆け上ると
点前座はにわかに活気づきます!
お客様は畳に座ってその様子を見ています。
畳に座る、正座をすると自然に背筋が伸びて重心が下り呼吸が楽になります。
そして視線の位置が決まります。
上から見下ろす視線の位置は、威圧感を与えますが、
着座姿勢での視線の位置の上下は、起立時のように大きくありません。
また、小間と呼ばれる四畳半では、室内を移動するとき、にじるという動作を行います。
広間でもお茶室に入るときは、にじって入ります。
にじるというのは、立ち上がらずに両手のこぶしを進む方向について
こぶしで体を支えて両膝を進めることです。
言葉で理解しようとするとわかりにくいですが、やってみると一目瞭然。
着座という姿勢をとることで、いつもと違った視点から物事を見る事が出来ます。
茶席は畳がその距離感の基準です。
畳の大きさは、絶妙のサイズです。
縦横の比率は1対2、三尺対六尺ですから約90cm:180cmです。
この90cmというのが基準の距離です。
アメリカの文化人類学者エドワード・ホール(Edward Hall)は、相手との関係と距離感を四つに分類しています。
1. 親密関係(intimate distance) :0cm~45cm
・最も近い距離で、身体接触が容易。親密な人以外はこの距離に近づくと不快感を感じます。
ちょうど畳の幅半分の距離です。
2. 個人的関係(personal distance) :45cm~120cm
・手を伸ばせば相手に届く距離。友人同士の個人的な会話の距離です。
畳半畳のちょうど対角線の距離です。
3. 社交的関係(social distance) :120cm~350cm
・身体に触れない距離。社会的で職場などで業務上とられる距離。
畳縦二枚分の距離です。
4. 公的関係(public distance) :350cm以上
・公的な人と公式の場での対面のときの距離です。
そんな風に見てみると、畳は人の交流にちょうど良い大きさに創られているのがよくわかります。
畳に座ると、おのずとちょうどいい心理的な距離になるというわけです。
その距離を詰めたり、広げたりしながら茶会は進んでゆきます。
一説によると畳の大きさは、織田信長が決めたというのです。
和・美・場
日本人は古来より、その美しさを価値判断の基準としてきました。 潔さ、もののあわれ、滅びゆくものへの愛しみ、生まれゆくものへの祝福など、 在り方としての美しさを愛でてきたように思います。 そんな日本人が持って生まれた美しさへの思いを共有し、形にするところ~が、和・美・場~です。 和・美・場では、茶道を通して日本の美しさ、日本人の美への希求を分かち合いたいと思います。
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