茶席では、お菓子とお茶を頂きます。
和菓子は美しいものです。季節の移ろいや、行事など様々な風情を映しています。
春は桜、秋なら紅葉そのものを具象化したお菓子もありますが、抽象的に表現しているものもあります。
新春は、葩餅(はなびら餅)
と言われる白い花弁形の求肥(もち米粉をねったもの)に包まれた薄紅色の餡がほのかに透けてみえるお菓子を頂きます。これも宮中の歯固め儀式、硬いものを食べて長寿を祈ったことに由来しているそうです。
春には、桜餅、鶯餅、
初夏には柏餅、盛夏には、涼を誘う葛饅頭、
秋には、月見団子など季節や行事に欠かせないお菓子もあります。こんな風に見てみると、和菓子は本当に多彩です。
私たちは、新春から始まって一年を通してたくさんの行事をお菓子と共に過ごしています。
それと共に四季の移ろいを楽しむのですが、そのこと自体が、人は自然の一部であり、自然と一体化する、自然と共にあるという日本人の生き方そのものであろうかと思います。
四季の変化を楽しむ。
同じ夏の光でも初夏の光と盛夏の光、晩夏の光は違います。そんな微妙な変化、移り変わりを切り取って、その時、その一瞬を楽しんできた私たちの祖先の素晴らしい財産を大切にしたいものです。
四季の行事は、宮中での催事行事に基づいています。まだ暦がなかったころは、四季の変化、時間経過を正確に把握するために行事を重視しました。
それらの行事がきちんと行われていることは、国がよく治まっている、政治が整っているということでもあったようです。民の日々の暮らしにも余裕があるということでしょう。
二十一世紀の現代社会に生きる私たちこそ、自然と共にあるべきです。四季を通して自然を愛でる心は、地球環境を守り育てる心を育んでゆくに違いありません。
お菓子を頂きましょう。
茶席ではまずお菓子を頂いてから、お茶を頂戴します。お菓子には主菓子といわれる生菓子と干菓子と呼ばれる乾燥した一口状のものがあります。
お菓子が運ばれたら、運んで下さった方が一礼をします。合わせて礼をします。
ペーシングです。相手に合わせます。
そして、下座の方に、「お先に」と一礼します。
菓子器は、畳の縁の外に置かれます。畳の縁が基準です。畳の外はパブリックスペース。
内はプライベートスペースです。
必ず下座(入口に近い方に座っておいでの方に、お先にと両手をついて軽く会釈し、お菓子の器を両手で押し頂き(少し持ち上げ)ます。懐紙を(折り目を手前に)膝前、畳の縁内におきます。
主菓子(生菓子)のときは黒文字といわれる箸状に削った大きな楊枝用のものが添えられています。
右手でとり、左手で受けて、右手を上から滑らせていつものお箸のように持ちかえて使います。
お菓子を頂くタイミングは皆さんに合わせます。
大きな楊枝、菓子きり、で切り分けて、いただきましょう。
お作法は、茶会の流れや、流派、季節などによって少しずつ違います。ですからあまり細かいところにとらわれるより、周りの方に合わせます。
合わせることで一体感が生まれるのですから。
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和・美・場
日本人は古来より、その美しさを価値判断の基準としてきました。 潔さ、もののあわれ、滅びゆくものへの愛しみ、生まれゆくものへの祝福など、 在り方としての美しさを愛でてきたように思います。 そんな日本人が持って生まれた美しさへの思いを共有し、形にするところ~が、和・美・場~です。 和・美・場では、茶道を通して日本の美しさ、日本人の美への希求を分かち合いたいと思います。
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